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EC向けCRMでリピート客を増やすには?具体的な施策と失敗しない選び方

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自社のECサイトでリピート顧客を増やしたいけれど、何から手をつけるべきか迷っていませんか。「メルマガを一斉配信しているだけでは効果が薄いのでは?」「顧客データがバラバラで、うまく活用できていない気がする」といった悩みを抱えているEC担当者の方は少なくないでしょう。

多くのネットショップが新規顧客の獲得に力を入れますが、市場の競争が激化する中で広告費は高騰し続けています。その結果、顧客一人ひとりに合わせたアプローチができず、せっかく獲得した顧客が一度きりの購入で離れてしまい、売上が安定しないという状況に陥りがちです。

ECサイトにおけるCRMの役割から、明日から使える具体的な施策、そして自社に最適なツールを失敗なく選ぶための比較ポイントまで、リピート客を増やし事業を成長させるために必要な知識を網羅的に解説します。

この記事の結論
  • EC CRMとは、顧客データを活用してリピート購入を促し、LTV(顧客生涯価値)を高めるためのツールです。
  • ツール選びで失敗しない最大のポイントは、「機能の多さ」よりも「現在使用中のECカートとの連携性」と「導入後のサポート体制」を重視することです。
  • 多くのツールは顧客数に応じた月額課金制です。まずは無料トライアルや資料請求で、自社の担当者が直感的に使えるかどうかを確認しましょう。
  • 導入を成功させるには、まず顧客分析やセグメント配信など、目的を絞ってスモールスタートし、徐々に活用範囲を広げていくアプローチが有効です。

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  • 企業ごとの取引情報から組織体制やステークホルダー情報を洗い出し、定性情報を元にしたアカウントプランニングが可能に
目次

ECサイトにCRMが必要とされる3つの理由|広告費依存からの脱却

なぜ今、多くのECサイトでCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)の導入が進んでいるのでしょうか。その背景には、EC業界が直面する共通の課題があります。ここでは、ECサイトの運営にCRMが必要不可欠とされる3つの理由を解説します。

1. 新規顧客の獲得コスト(CAC)が高騰している

インターネット広告市場の拡大に伴い、新規顧客を一人獲得するためのコスト(CAC:Customer Acquisition Cost)は年々上昇しています。多くの競合と同じ市場で広告を出し続けることは、体力勝負になりがちです。

広告費をかければ一時的に売上は伸びるかもしれませんが、それは事業の安定には繋がりません。広告への依存度を下げ、持続的に成長するためには、新規顧客の獲得と同時に、既存顧客との関係を深め、リピート購入を促す仕組みが不可欠です。

2. 顧客との関係性を築き、LTVを最大化する必要がある

マーケティングの世界には「1:5の法則」という有名な法則があります。これは、新規顧客に商品を販売するコストは、既存顧客に販売するコストの5倍かかるというものです。

つまり、一度購入してくれた顧客との関係を維持し、ファンになってもらう方が、常に新しい顧客を探し続けるよりもはるかに効率的です。顧客一人が生涯にわたって自社にもたらす利益の総額を示す「LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を最大化することが、EC事業を安定させる鍵となります。

3. 顧客データが分散し、有効活用できていない

「ECカートの購入履歴」「メルマガの配信リスト」「問い合わせフォームの履歴」など、顧客に関するデータが様々なツールに分散してしまっていませんか。このような状態を「データのサイロ化」と呼びます。

データがバラバラだと、一人の顧客が「いつ、何を買い、どんな問い合わせをしたか」という一連の行動を把握できません。その結果、顧客を深く理解できず、画一的なアプローチしか取れなくなってしまいます。CRMは、これらのデータを一元管理し、顧客の全体像を可視化する役割を担います。

EC CRMで何ができる?主要な4つの機能

EC向けCRMツールを導入すると、具体的にどのようなことが可能になるのでしょうか。ここでは、多くのEC CRMツールが持つ代表的な4つの機能について、ECサイト運営の文脈で解説します。これらの機能は独立しているのではなく、互いに連携することで大きな効果を発揮します。

1. 顧客情報の一元管理

CRMの最も基本的な機能は、顧客に関するあらゆる情報を一元管理することです。氏名や連絡先といった基本情報はもちろん、購入履歴、サイト内での行動履歴、問い合わせ内容、メールの開封履歴まで、顧客との接点で得られたデータを一つのデータベースに集約します。

これにより、顧客一人ひとりの詳細なカルテが作成され、「誰が」「いつ」「何を」「どれくらい」購入しているのかを正確に把握できるようになります。

2. One to Oneマーケティングの自動化

集約した顧客データを活用し、顧客一人ひとりに合わせたアプローチを自動化する機能です。これはMA(マーケティングオートメーション)の領域とも重なります。

例えば、以下のような施策を自動で実行できます。

  • 初回購入者に向けたサンクスメールと使い方の案内
  • 購入を迷ってサイトを離脱した顧客への「カゴ落ち」フォローメール
  • 誕生日を迎える顧客への特別クーポンの配信
  • 購入商品に関連する別の商品を提案するメール

手作業では膨大な時間がかかるこれらの施策を自動化することで、担当者の負担を減らしながら、顧客満足度を高めることができます。

3. 購買データや顧客行動の分析

蓄積したデータを分析し、マーケティング施策の意思決定に役立てる機能です。多くのCRMツールには、ECサイトの分析に特化した機能が搭載されています。

代表的な分析手法が「RFM分析」です。これは、Recency(最終購入日)、Frequency(購入頻度)、Monetary(購入金額)の3つの指標で顧客をグループ分けし、優良顧客や離反しそうな顧客を特定する手法です。データに基づいた分析により、「なんとなく」の施策から脱却し、効果的なアプローチを計画できます。

4. ECカートシステムや外部ツールとの連携

ECサイトの運営において、現在利用しているECカートシステムとの連携は非常に重要です。API連携などによってカートシステムの購買データをCRMに自動で取り込むことができれば、手動でデータを移行する手間が省け、常に最新の顧客情報を維持できます。

また、LINE公式アカウントやその他MAツールなど、外部のマーケティングツールと連携できるCRMも多く、施策の幅をさらに広げることが可能です。

BtoB向けCRMとの違いは?

CRMには、企業間の取引を管理するBtoB向けと、一般消費者を対象とするBtoC(ECサイトはこちらに含まれます)向けがあります。両者の最も大きな違いは、管理する顧客の単位です。

  • BtoB向けCRM:顧客の単位は「企業」や「部署」。商談の進捗管理や営業担当者の活動記録が主な目的。
  • EC向けCRM(BtoC):顧客の単位は「個人」。購入履歴やサイト内行動に基づき、一人ひとりの顧客との長期的な関係構築を目指す。

ECサイトのマーケティングで成果を出すためには、RFM分析やECカート連携など、個人顧客へのアプローチに特化した機能を備えたEC向けCRMを選ぶことが重要です。

EC向けCRMを活用した具体的なマーケティング施策例

CRMの機能がわかったところで、次はそれらを活用してどのような施策が打てるのかを見ていきましょう。ここでは、顧客のステージ(新規・リピート・優良・休眠)に合わせた具体的なCRM施策の例を3つ紹介します。ECサイトでCRMを導入した後の活用イメージを膨らませてみてください。

施策例1:購入後のフォローアップとリピート促進

新規顧客がリピート顧客になるかどうかは、初回購入後の体験に大きく左右されます。購入してくれたことに感謝を伝え、ブランドへの信頼感を育むことが重要です。

  • サンクスメール:商品発送の連絡とは別に、購入への感謝を伝えるメールを配信。商品の使い方やブランドのこだわりを伝えるコンテンツも有効です。
  • ステップメール:購入から数日後、1週間後、1ヶ月後など、段階的にメールを配信。商品の使用感を尋ねたり、関連商品を紹介したりして、顧客との接点を維持します。
  • 次回購入クーポンの配布:初回購入から一定期間後に、限定のクーポンを配布し、2回目の購入を後押しします。

施策例2:優良顧客のロイヤリティ向上

売上の大部分を支えてくれる優良顧客には、特別な体験を提供し、さらなるファンになってもらうための施策が有効です。こうした施策は、顧客のロイヤリティを高めることにつながります。

  • 会員ランク制度:年間の購入金額や購入回数に応じて会員ランクを設定。ランクごとに特典(送料無料、限定セールへの招待など)を用意し、継続的な購入を促します。
  • 限定セールの案内:一般公開前に、優良顧客だけを先行してセールに招待する。
  • 特別クーポンの提供:誕生日や記念日などに、パーソナルなメッセージを添えて特別なクーポンをプレゼントする。

施策例3:休眠顧客の掘り起こし

かつては購入してくれていたものの、長期間サイトを訪れていない「休眠顧客」も、CRMを使えば効果的にアプローチできます。忘れられてしまった自社のことを思い出してもらうきっかけを作りましょう。

  • カムバックキャンペーン:「お久しぶりです」といった件名で、特別な割引率のクーポンを送付し、再訪を促す。
  • 新商品や人気商品の案内:休眠期間中に登場した新商品や、リニューアルした人気商品の情報を送り、興味を喚起する。
  • アンケートの実施:サイトを利用しなくなった理由を尋ねるアンケートを実施し、今後のサービス改善に繋げる。

失敗しないEC CRMツールの選び方と比較すべき5つのポイント

EC CRMツールの導入を検討し始めると、多くの選択肢があることに気づくでしょう。しかし、「機能が多ければ良い」というわけではありません。自社の目的や規模に合わないツールを選んでしまうと、費用が無駄になったり、現場で使いこなせなかったりする可能性があります。ここでは、EC CRMを比較する際に失敗しないための5つのポイントを解説します。

1. 自社の目的(課題)は明確になっているか

ツール選びを始める前に、最も重要なのは「CRMを導入して何を解決したいのか」を明確にすることです。「リピート率を10%向上させたい」「顧客単価を5%上げたい」「メルマガ配信の工数を半分にしたい」など、具体的な目的を定めましょう。

目的が明確であれば、それに必要な機能がおのずと見えてきます。多機能なツールに惑わされず、自社の課題解決に直結する機能を備えたツールを選ぶことが、失敗しないための第一歩です。

2. 利用中のECカートシステムと連携できるか

ECサイトの心臓部であるECカートシステムとスムーズに連携できるかは、必ず確認すべき最重要ポイントです。購買データが自動でCRMに連携されなければ、毎日手動でデータを移行する作業が発生し、担当者の大きな負担となります。

各CRMツールの公式サイトで、対応しているカートシステムを確認しましょう。もし記載がない場合でも、API連携などで対応できるケースもあるため、直接問い合わせてみることをお勧めします。

3. 操作性は担当者にとって分かりやすいか

CRMは導入して終わりではなく、日常的に使い続けるツールです。そのため、マーケティング担当者が直感的に操作できるかどうかは非常に重要です。管理画面が複雑すぎたり、専門知識がないと使えなかったりするツールでは、次第に使われなくなり形骸化してしまいます。

多くのツールでは無料トライアル期間が設けられています。必ず実際に触ってみて、自社の担当者がストレスなく使えるかどうかを確認しましょう。

4. 費用は事業規模に見合っているか(ec crm 費用)

EC CRMの費用体系はツールによって様々ですが、管理する顧客数やメールの配信数に応じて月額料金が変動するプランが一般的です。初期費用がかかる場合や、特定の機能がオプション料金になっていることもあります。

月額費用だけでなく、初期費用やオプション費用も含めたトータルコストで判断することが大切です。また、事業の成長に伴って顧客数が増えた場合に、料金がどのように変動するかも事前に確認し、長期的な視点で費用対効果を検討しましょう。料金は改定されることもあるため、必ず公式サイトで最新の情報を確認してください。

5. 導入後のサポート体制は充実しているか

ツールを導入したものの、「使い方が分からない」「施策の相談をしたい」といった場面は必ず出てきます。そんな時に、気軽に相談できるサポート体制が整っているかは、CRMを最大限に活用するために不可欠な要素です。

電話やメール、チャットでの問い合わせ対応の範囲や時間、専任の担当者がつくか、活用方法に関するセミナーが開催されているかなど、導入後の伴走支援がどれだけ手厚いかを確認しましょう。

EC CRM導入を成功させるための社内準備と進め方

最適なCRMツールを見つけることと同じくらい重要なのが、導入を成功させるための社内準備です。特に、導入の承認を得るための「社内説得」と、導入後の「運用体制の構築」は、多くの担当者がつまずきやすいポイントです。ここでは、導入をスムーズに進めるための3つのステップを紹介します。

ステップ1:目的とKGI・KPIを設定する

まず、なぜCRMが必要なのか、導入によって何を目指すのかを具体的な数値目標に落とし込みます

  • KGI(重要目標達成指標):最終的なゴール。例:「半年後のLTVを現状から10%向上させる」
  • KPI(重要業績評価指標):KGI達成のための中間指標。例:「リピート率を5%改善する」「メール経由の売上を月間50万円増やす」

このように数値で目標を設定することで、導入の目的が明確になり、関係者全員が同じゴールに向かって進むことができます。

ステップ2:費用対効果(ROI)を試算し、上司を説得する

ツール導入にはコストがかかるため、決裁者である上司を説得するには、その投資がどれだけのリターンを生むのか(ROI:投資対効果)を論理的に示す必要があります。

例えば、「月額5万円のツールを導入し、メール施策の自動化で担当者の作業が月20時間削減できれば、人件費換算で〇万円のコスト削減になる。さらに、リピート率が〇%改善すれば、売上が〇万円増加する見込み。したがって、この投資は3ヶ月で回収できる」といった具体的なシミュレーションを作成しましょう。売上向上と工数削減の両面から効果を試算することがポイントです。

ステップ3:運用体制を決め、担当者をアサインする

ツールを導入する前に、「誰が」「いつ」「何を」やるのかを具体的に決めておくことが、導入後の混乱を防ぎます。

理想は専任の担当者を置くことですが、リソース的に難しい場合も多いでしょう。その場合は、「週に一度、〇〇さんが顧客分析と施策の計画を行う」「メルマガの作成は△△さんが担当する」など、役割と作業時間を明確に分担することが重要です。まずは顧客分析とセグメント配信など、目的を絞ってスモールスタートし、徐々に活用範囲を広げていくアプローチが有効です。

まとめ:EC CRMは顧客との関係を育てる未来への投資

ECサイトにおけるCRMは、単なる顧客管理ツールではありません。広告費の高騰や市場競争の激化が進む中で、顧客一人ひとりと向き合い、長期的なファンを育てることで、事業の安定した成長基盤を築くための戦略的な投資です。

CRMを導入することで、これまで見えていなかった顧客の姿が可視化され、データに基づいた効果的なアプローチが可能になります。その結果、リピート顧客が増え、LTVが向上し、広告費に依存しない強いECサイトへと成長していくでしょう。

まずは本記事で紹介した選び方のポイントを参考に、自社の課題は何かを整理することから始めてみてください。それが、顧客とのより良い関係を築くための、そして未来の売上を作るための、確かな第一歩となるはずです。

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