お客様の営業担当が変更になる際、どのようなメールを送れば失礼にならないか、頭を悩ませていませんか。「最適なタイミングはいつだろう」「件名や本文に何を書けばいいのだろう」といった不安から、なかなか送信ボタンが押せないという方も少なくないのではないでしょうか。
営業担当の変更挨拶は多くのビジネスパーソンが経験しますが、その作法を体系的に学ぶ機会はほとんどありません。だからこそ、インターネットで断片的な情報を集めて自己流で対応してしまい、結果として必要な情報が漏れてしまったり、事務的な連絡だけで終わってしまいお客様に冷たい印象を与えたりと、意図せず関係性を損ねるリスクを抱えがちです。
この記事では、営業担当変更の挨拶メールにおける基本構成から、コピーしてすぐに使える状況別の例文、そして見落としがちなビジネスマナーまで、担当変更の一連のプロセスを安心して完遂するためのポイントを網羅的に解説します。
- 件名は「【株式会社〇〇】営業担当変更のご挨拶(△△より)」のように、一目で用件と差出人が分かるようにする
- 本文には「①前任者の名前」「②後任者の紹介」「③具体的な変更日」の3つの必須情報を必ず記載する
- これまでの感謝の気持ちを伝える一文を必ず入れ、事務的な連絡で終わらせないようにする
- 最適な送信タイミングは、後任者との挨拶訪問や業務引き継ぎが本格化する「1〜2週間前」を目安にする
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【解決できる課題】
- 営業メンバーがSFA/CRMに情報入力しないため、社内に定性情報が残らない
- 営業メンバーの報告内容が正確でなく、個別の状況確認や録画視聴に時間がかかってしまう
- 営業戦略策定に必要な情報が溜まっておらず、受注/失注分析ができない・有効な示唆がでない
- 今注力すべき案件の優先度が立てられず、営業活動が非効率
- フォローアップすべき案件が漏れてしまい、機会損失が生まれている
- 提案や新人教育が属人化しており、事業拡大のボトルネックになっている
まずは基本から!営業担当変更メールの構成と必須項目
営業担当の変更を伝えるメールは、お客様との信頼関係を維持し、後任者へスムーズにバトンを渡すための重要なコミュニケーションです。
まずは、どのような状況でも共通するメールの基本構成と、絶対に記載すべき必須項目を理解しましょう。
この型を押さえるだけで、メールの品質が格段に向上します。
担当変更メールの基本構成
担当変更の挨拶メールは、一般的なビジネスメールと同様に、以下の5つの要素で構成されます。
それぞれの役割を意識することで、分かりやすく丁寧なメールを作成できます。
- 件名:メールの内容が一目でわかるように簡潔に記載します。
- 宛名:会社名、部署名、役職、氏名を正確に記載します。
- 本文(挨拶・本題):時候の挨拶に続き、担当変更の要件を伝えます。
- 結びの挨拶:今後の変わらぬお付き合いをお願いする言葉で締めくくります。
- 署名:会社名、部署名、氏名、連絡先などを記載します。
これだけは押さえるべき3つの必須記載項目
担当変更のメール本文には、お客様を混乱させないために、必ず含めるべき3つの情報があります。
情報が漏れていると、お客様に余計な手間をかけさせてしまう可能性があるため、送信前に必ず確認しましょう。
- 前任者の名前と異動・退職の事実
まず、「誰が」担当を離れるのかを明確に伝えます。異動や退職といった理由も簡潔に添えると、より丁寧な印象になります。 - 後任者の紹介
次に、「誰に」業務が引き継がれるのかを伝えます。後任者の氏名と連絡先は必須です。加えて、後任者の人柄や強みに触れる一文があると、お客様の安心感につながります。 - 具体的な変更日
「いつから」担当者が変更になるのかを明記します。「〇月〇日より」のように、具体的な日付を記載することで、お客様が連絡先に迷うのを防ぎます。
この3点を確実に記載することが、スムーズな営業の引き継ぎ挨拶の第一歩です。
【例文付き】件名の書き方で押さえるべきポイント
多忙な相手は、件名を見てメールの重要度を判断します。
誰から、何の用件で送られてきたのかが一目でわかるように、件名には会社名と用件を必ず入れましょう。
【良い件名の例】
- 【株式会社〇〇】営業担当変更のご挨拶(前任者氏名より)
- 営業担当変更のご挨拶【株式会社〇〇 後任者氏名】
【避けるべき件名の例】
- お世話になっております
- ご挨拶
- (件名なし)
上記のような件名では、他のメールに埋もれて見落とされたり、迷惑メールと誤解されたりする可能性があるため注意が必要です。
コピペで使える!状況別の営業担当変更メール例文集
ここでは、さまざまなビジネスシーンでそのまま使える、営業担当変更メールの例文を状況別に紹介します。
ご自身の状況に合わせて内容を調整し、ご活用ください。
1.【社外向け】前任者から送る場合の例文
これまでお世話になったお客様へ、感謝の気持ちを伝えることを重視した例文です。
後任者を紹介し、安心して引き継ぎを任せられることを伝えましょう。
件名:
【株式会社〇〇】営業担当変更のご挨拶(△△太郎)
本文:
株式会社□□
営業部 部長 〇〇様
いつも大変お世話になっております。
株式会社〇〇の△△太郎です。
私事で恐縮ですが、〇月〇日付で広報部へ異動することとなり、
貴社の担当を離れることになりました。
後任は、同じ営業部の▲▲花子が務めさせていただきます。
〇〇様には、入社当初から何かとお力添えをいただき、
心より感謝申し上げます。
後日、▲▲とともに改めてご挨拶に伺わせていただきたく存じますが、
まずはメールにて失礼ながら、ご挨拶を申し上げます。
後任の▲▲は、私以上に丁寧なサポートができると確信しております。
これまで同様、弊社へご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
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署名
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2.【社外向け】後任者から送る場合の例文
新しい担当者として、今後の意気込みを伝えることが大切な例文です。
前任者から引き継ぎをしっかり受けていることを伝え、お客様に安心感を与えましょう。
件名:
【株式会社〇〇】新任営業担当のご挨拶(▲▲花子)
本文:
株式会社□□
営業部 部長 〇〇様
いつも大変お世話になっております。
株式会社〇〇 営業部の▲▲花子と申します。
この度、前任の△△太郎に代わり、貴社の担当を務めさせていただくことになりました。
前任の△△からは、〇〇様には大変お世話になっていると伺っております。
一日も早くお役に立てるよう誠心誠意努力してまいりますので、
今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
近日中に改めてご挨拶にお伺いしたく、
日程のご相談をさせていただけますと幸いです。
まずはメールにて恐縮ですが、着任のご挨拶を申し上げます。
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署名
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3.【社外向け】前任者と後任者の連名で送る場合の例文
連名で送ることで、引き継ぎがスムーズに行われていることを伝えられ、より丁寧な印象を与えられます。
件名:
【株式会社〇〇】営業担当変更のご挨拶(△△・▲▲)
本文:
株式会社□□
営業部 部長 〇〇様
いつも大変お世話になっております。
株式会社〇〇の△△太郎と▲▲花子です。
この度、〇月〇日をもちまして、貴社の担当を△△から▲▲へ引き継がせていただくことになりました。
(前任者より)
在任中は格別のご厚情を賜り、誠にありがとうございました。
〇〇様との仕事を通じて多くのことを学ばせていただきましたこと、心より感謝申し上げます。
(後任者より)
前任の△△に代わり、貴社の担当を務めさせていただきます▲▲花子です。
一日も早くお役に立てるよう尽力いたしますので、
今後ともご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
後日、改めてご挨拶にお伺いいたします。
まずはメールにて恐縮ですが、担当変更のご挨拶を申し上げます。
今後とも、株式会社〇〇をよろしくお願いいたします。
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(後任者の署名)
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(前任者の署名)
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4.【社内向け】関係部署へ報告する場合の例文
社内向けには、事実を簡潔に報告することが重要です。
担当変更日と後任者を明確に伝え、業務が滞らないように情報共有しましょう。
件名:
【営業部】担当変更のお知らせ(〇〇様担当)
本文:
関係各位
お疲れ様です。営業部の△△です。
この度、〇月〇日付で広報部へ異動することに伴い、
株式会社□□様の担当を▲▲さんに引き継いでいただくことになりました。
引き継ぎ期間は〇月〇日までを予定しております。
関係部署の皆様にはご迷惑をおかけいたしますが、
何卒よろしくお願いいたします。
ご不明な点がございましたら、△△までご連絡ください。
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署名
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感謝の気持ちが伝わる一言カスタマイズ例文
定型文に一言加えるだけで、メールはより心のこもったものになります。
お客様との関係性に合わせて、感謝の気持ちを具体的に伝えてみましょう。
- プロジェクトでお世話になった場合:
「特に〇〇のプロジェクトでは、部長に多大なるお力添えをいただき、無事に成功させることができました。本当にありがとうございました。」 - 長年の付き合いがある場合:
「〇〇様には、私が新人だった頃から温かくご指導いただき、営業として成長させていただきましたこと、重ねて御礼申し上げます。」 - 厳しい指導を受けた場合:
「〇〇様からいただいた厳しいながらも温かいご指導の数々は、私の社会人生活の大きな財産です。」
こうした一言が、事務的な連絡を、心に残る感謝のメッセージに変えてくれます。
知らないと失礼に?担当変更の挨拶で守るべきビジネスマナー
メールの内容と同じくらい重要なのが、送信のタイミングや宛先の指定といったビジネスマナーです。
うっかり見落として失礼にあたらないよう、基本的なルールをしっかり確認しておきましょう。
最適な送信タイミングはいつ?【1〜2週間前が目安】
営業担当変更の挨拶メールは、後任者との挨拶訪問や業務の引き継ぎが本格化する「1〜2週間前」に送るのが一般的です。
このタイミングは、取引先が後任者を受け入れる準備をするのに十分な時間を与えつつ、間が空きすぎて忘れられてしまうのを防ぐための最適な期間とされています。
遅くとも1週間前には連絡するのがマナーです。
変更の直前や事後報告になるのは、相手への配慮が欠けていると見なされる可能性があるため、絶対に避けましょう。
宛先(TO・CC・BCC)の正しい使い分け
宛先の使い分けを間違えると、社内外の関係者に失礼にあたる可能性があります。
それぞれの役割を正しく理解しましょう。
- TO(宛先):メインの連絡相手(主担当者など)を指定します。メール本文の宛名に記載する方のメールアドレスを入れます。
- CC(カーボンコピー):メインの連絡相手ではないものの、情報を共有しておきたい関係者(上司や後任者、相手企業の他の担当者など)を指定します。TOとCCに入れられた人には、全員のアドレスが表示されます。
- BCC(ブラインドカーボンコピー):他の受信者にアドレスを知られずに情報を共有したい相手を指定します。一斉送信で使われることが多いですが、後述する注意点があります。
基本的には、お客様の主担当者をTOに、自社の上司や後任者、お客様側の関係者をCCに入れるのが一般的です。
複数のお客様に一斉送信する場合の注意点
多くのお客様を担当していた場合、一斉送信で連絡したくなるかもしれません。
その際は、個人情報保護の観点から細心の注意が必要です。
必ずBCC機能を使い、他のお客様のメールアドレスが見えないように設定しましょう。
また、本文の宛名は「お客様各位」「お取引先様各位」とし、特定の会社名や個人名を出さないように配慮します。
ただし、一斉送信は効率的である一方、事務的で冷たい印象を与えかねません。
特にお世話になったお客様には、個別でメールを送るのが最も丁寧な対応です。
BCCでの一斉送信は非常に便利ですが、一つ間違えると重大な情報漏洩につながるリスクがあります。
それは、「BCC」と「CC」の設定ミスです。
もし誤って全員のアドレスをCCに入れて送信してしまうと、面識のないお客様同士のメールアドレスが全員に公開されてしまいます。
このようなミスは会社の信用を大きく損なうため、送信前には宛先の設定を複数回確認することが不可欠です。
可能であれば、メール配信システムを利用するか、信頼できる同僚にダブルチェックを依頼するなど、ミスを防ぐ仕組みを整えることをお勧めします。
メールだけで終わらせない!引き継ぎを万全にするフォローアップ
営業担当の変更は、メール一本で完了するものではありません。
お客様との信頼関係をより強固なものにするためには、メール送信後の丁寧なフォローアップが不可欠です。
ここでは、引き継ぎを万全にするための具体的なアクションを紹介します。
後任者と同行して挨拶に伺う場合の流れとポイント
特に重要な取引先には、後任者と一緒に直接訪問して挨拶するのが最も丁寧な方法です。
対面での挨拶は、後任者の顔と人柄を覚えてもらい、お客様の不安を解消する絶好の機会となります。
【訪問挨拶の基本的な流れ】
- アポイントの取得:事前に電話やメールで訪問の目的を伝え、お客様の都合の良い日時を確認します。
- 訪問当日:
- 自己紹介は後任者から行い、前任者がそれを補足します。
- 会話の主導権は前任者が握り、これまでの感謝や引き継ぎ状況を説明します。
- 後任者は、今後の意気込みやお客様への想いを伝えます。
- 訪問後のお礼:訪問から時間を置かず、後任者の名前でその日のうちにお礼のメールを送ります。
訪問時は、引き継ぎがスムーズに進んでいることをアピールし、お客様に安心感を与えることを最優先に考えましょう。
電話でフォローを入れる際のタイミングとトーク例
直接訪問が難しい場合や、メールを送った後の確認として、電話でのフォローも有効です。
メール送信後、2〜3日経ったタイミングで連絡を入れると良いでしょう。
長電話は相手の時間を奪ってしまうため、要件は簡潔に伝えることがポイントです。
【電話フォローのトーク例】
「お世話になっております。株式会社〇〇の△△です。
先日は、営業担当変更の件でメールをお送りいたしましたが、ご覧いただけましたでしょうか。
〇月〇日より、後任の▲▲が担当させていただきますので、
何かございましたら、お気軽に▲▲までお申し付けください。
簡単ではございますが、改めてご挨拶をと思いお電話いたしました。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。」
このように電話で一言添えるだけで、より丁寧な印象を与えることができます。
まとめ
今回は、営業担当変更の挨拶メールの書き方から、知っておくべきビジネスマナー、そしてメール後のフォローアップまでを解説しました。
担当変更の挨拶は、これまでの感謝を伝え、お客様と後任者の新しい関係を築くための大切なスタート地点です。
最後に、成功させるための重要なポイントを振り返りましょう。
- 基本の型を守る:「前任者名」「後任者紹介」「変更日」の3つの必須項目を必ず記載する。
- 状況に合わせて例文を活用する:社外・社内、前任者・後任者など、自分の立場に合った例文をベースに作成する。
- マナーを遵守する:送信タイミングは「1〜2週間前」を目安とし、宛先の使い分けにも注意する。
- フォローアップを徹底する:メールだけでなく、直接訪問や電話を組み合わせることで、より丁寧な引き継ぎを行う。
この記事で紹介したポイントと例文を活用し、自信を持って担当変更の挨拶に臨んでください。
丁寧な引き継ぎは、お客様との長期的な信頼関係を築くための確かな一歩となるはずです。