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非対面営業の導入で失敗しないために。対面営業と組み合わせる新時代の勝ち方

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「そろそろ自社も非対面営業を本格化させたいが、何から手をつければいいのか」「対面営業に慣れたメンバーの抵抗が大きく、導入がうまく進まないのではないか」——そんな悩みを抱えていませんか。営業の生産性を上げる必要性は感じつつも、具体的な進め方がわからず、一歩を踏み出せずにいる方も多いのではないでしょうか。

非対面営業への移行は、多くの企業が直面する課題ですが、その成功法則が体系的に共有される機会は多くありません。だからこそ、目的が曖昧なままツールを導入してしまったり、従来の評価基準を変えずに現場の混乱を招いたりと、良かれと思って進めた改革が空回りしてしまうケースが後を絶たないのです。

失敗しない導入のステップから、対面営業の強みを融合させた新時代の勝ち方まで、営業組織の成果を最大化するための具体的なロードマップを提示します。

この記事の結論
  • 非対面営業の目的を「コスト削減」ではなく「営業生産性の向上」と定義し、チームで共有することが第一歩です。
  • いきなり全社導入せず、特定のチームや商材でスモールスタートし、成功事例を作ることが現場の抵抗を減らす鍵となります。
  • 対面と非対面は対立するものではなく、両者を組み合わせる「ハイブリッド営業」が成果を最大化します。
  • 成果の評価基準を「訪問件数」から「有効商談数」や「成約率」へ見直し、非対面での活動が正当に評価される仕組みを整えることが不可欠です。

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目次

そもそも非対面営業とは?対面営業との違いを解説

非対面営業とは、その名の通り、顧客と直接顔を合わせずに行う営業活動全般を指します。

従来のような訪問活動ではなく、オンライン会議システムや電話、メール、チャットといったデジタルツールを活用して、顧客とのコミュニケーションを図るスタイルです。

このセクションでは、まず非対面営業の基本と、従来の対面営業との本質的な違いを整理します。

非対面営業の主な種類と手法

非対面営業は、用いるツールや目的によっていくつかの種類に分けられます

  • オンライン商談:ZoomやGoogle MeetなどのWeb会議システムを使い、遠隔地の顧客とも画面越しに顔を合わせて商談を行う手法です。資料共有もスムーズで、現在の非対面営業の主流となっています。
  • インサイドセールス(電話・メール):オフィス内から電話やメールで見込み顧客にアプローチし、関係を構築したり、商談の機会を創出したりする内勤型の営業手法です。
  • メールマーケティング:メール配信ツールを使い、多数の見込み顧客に対して一斉に、あるいは個別に情報を届け、興味関心を引き出す手法です。

これらの手法を単体で、あるいは組み合わせて活用するのが一般的です。

対面営業との根本的な違いは「コミュニケーションの質」

非対面営業と対面営業の最も大きな違いは、コミュニケーションにおける「情報の種類と量」にあります。

対面営業では、言葉そのもの(言語情報)に加えて、表情や声のトーン、身振り手振り、場の空気といった「非言語情報」が豊富に飛び交います。これにより、相手の感情を汲み取ったり、深い信頼関係を築いたりしやすいのが特長です。

一方、非対面営業、特に電話やメールでは、伝わる情報が言語情報に限定されがちです。オンライン商談であれば映像で表情はわかりますが、それでも対面に比べると非言語情報が伝わりにくく、意図が正確に伝わらなかったり、微妙なニュアンスを掴み損ねたりする可能性があります。

この違いを理解することが、非対面営業を成功させるための第一歩となります。

なぜ今、非対面営業が注目されているのか?

近年、非対面営業が急速に普及している背景には、単一の理由ではなく、複数の社会的な変化が複合的に影響しています。

コロナ禍によって物理的な接触が制限されたことは大きなきっかけでしたが、それ以前から進行していた「DX(デジタルトランスフォーメーション)」や「働き方改革」の流れが、その動きを決定的なものにしました。

事実、非対面営業を支えるSFA(営業支援システム)の国内市場は年率10%を超える高い成長を続けており、2022年度には816億円規模に達しています。また、Web会議システムの市場も1,000億円を超えるなど、営業活動のデジタル化が不可逆的なトレンドであることがデータからも明らかです。

移動時間の削減による生産性向上、多様な働き方への対応、営業活動のデータ化による戦略精度の向上など、企業が非対面営業を導入するメリットは大きく、もはや一過性のブームではなく、事業成長に不可欠な経営戦略として位置づけられています

【失敗から学ぶ】非対面営業の導入で陥りがちな3つの壁

非対面営業の導入は、多くのメリットをもたらす一方で、そのプロセスにはいくつかの「壁」が存在します。

これらの壁の存在を知らずに進めてしまうと、せっかくの投資が無駄になったり、現場が混乱してかえって生産性が低下したりする恐れがあります。

ここでは、多くの企業が陥りがちな3つの典型的な失敗パターンとその乗り越え方を解説します。

1. ツールを導入しただけで満足してしまう「ツール先行の壁」

最も多い失敗が、「とりあえずWeb会議システムやSFAを導入すれば何とかなるだろう」と考えてしまうケースです。

しかし、「なぜ導入するのか」「導入して何を解決したいのか」という目的がチーム全体で共有されていなければ、ツールはただの「箱」になってしまいます。結果として、一部のメンバーしか使わなかったり、情報入力が負担になって形骸化したりするのです。

この壁を越えるには、ツール選定の前に「営業活動のどの部分を効率化したいのか」「どんなデータを可視化して次のアクションに繋げたいのか」を明確に定義することが不可欠です。

2. 現場のベテラン勢が抵抗する「意識・文化の壁」

「営業は足で稼ぐものだ」「お客様と直接会わなければ本当の関係は築けない」といった価値観を持つベテラン社員からの抵抗も、大きな壁となります。

長年の成功体験を持つ彼らにとって、やり方を変えることは自身の経験を否定されるように感じられ、強い反発を生むことがあります。

この壁を乗り越えるには、トップダウンで強制するのではなく、まずは非対面営業のメリットを丁寧に説明し、理解を求めることが重要です。小さなチームで試験的に導入して成功事例を作り、「新しいやり方でも成果は出せる」ことを具体的に示すのが効果的です。

3. 評価基準が旧態依然のままな「評価制度の壁」

営業のやり方を変えたにもかかわらず、評価基準が「1日の訪問件数」や「架電数」といった従来の指標のままだと、メンバーは何を目標にすればよいか分からなくなります。

非対面営業は移動時間がなくなる分、顧客との接点の「量」を増やしやすいですが、質の低いアポイントを量産しても成果には繋がりません。むしろ、後工程を担当する営業の負担を増やし、組織全体の効率を低下させるリスクすらあります。

この壁を越えるには、評価基準を量から質へと転換することが不可欠です。具体的には、「有効商談数(見込み度が高いと判断された商談の数)」や「商談化率」「最終的な成約率」といった、成果に直結する指標(KPI)を新たに設定し、非対面での活動が正しく評価される仕組みを整える必要があります。

「有効商談」の定義を明確にすることが成功の鍵

評価基準を「有効商談数」に切り替える際、最も重要なのが「何をもって有効とするか」の定義をチーム全員で共有することです。

例えば、以下のような具体的な基準(BANT条件など)を設けることが考えられます。

  • Budget(予算):製品・サービスを導入するための予算が確保されているか
  • Authority(決裁権):商談相手に決裁権があるか、または決裁者に影響力があるか
  • Needs(必要性):顧客の課題が明確で、自社製品で解決できるか
  • Timeframe(導入時期):具体的な導入時期の目処が立っているか

こうした明確な基準があることで、営業担当者は質の高い商談創出に集中でき、組織全体の生産性向上に繋がります。

非対面営業を成功に導く5つの重要ポイント

失敗の壁を乗り越え、非対面営業を組織に定着させ、成果を最大化するためには、戦略的なアプローチが不可欠です。

ここでは、導入を成功に導くために押さえるべき5つの重要なポイントを解説します。

1. 勘と経験への依存から脱却する「営業プロセスの可視化」

トップセールスの頭の中にしかないノウハウや成功パターンを形式知化し、組織全体の資産に変えることが第一歩です。

見込み顧客の発見からアプローチ、商談、クロージング、アフターフォローまで、一連の営業プロセスを分解し、各段階で「誰が」「何を」「どのように」行うべきかを定義・標準化します。これにより、個人のスキルへの依存から脱却し、チーム全体の営業力を底上げできます。

2. 顧客情報を資産に変える「情報共有の仕組み化」

可視化したプロセスを円滑に回すには、SFAやCRMといったツールを活用し、顧客情報を一元管理する仕組みが欠かせません。

「誰が」「いつ」「どの顧客に」「どんなアプローチをして」「どんな反応だったか」といった活動履歴をリアルタイムで共有することで、担当者不在時の対応がスムーズになるだけでなく、蓄積されたデータを分析して成功パターンを見つけ出すことも可能になります。

3. 成果を正しく測る「評価基準(KPI)の見直し」

前述の通り、活動の評価基準を見直すことは極めて重要です。

従来の「訪問件数」といった行動量(プロセス指標)だけでなく、「有効商談化率」や「受注率」「顧客単価」といった成果(ゴール指標)を正しく評価する仕組みを構築します。これにより、営業担当者は目先の数字ではなく、本質的な成果を追求するようになり、活動の質が向上します

4. 画面越しでも信頼を得る「オンラインコミュニケーション術」

非対面では、対面営業とは異なるコミュニケーションスキルが求められます。

例えば、商談前にはアジェンダを共有してゴールを明確にする、話す際は普段より少しゆっくり、はっきりと発声する、相手の反応を見ながら適度に間を取る、画面共有する資料は文字を大きくして視覚的に分かりやすくするなど、細やかな配慮が信頼関係の構築に繋がります。こうしたスキル向上のためのトレーニングも有効です。

5. 小さく始めて大きく育てる「スモールスタートの徹底」

新しい取り組みを全社一斉にスタートさせるのは、リスクが大きく、現場の反発も招きやすくなります。

まずは特定の製品や意欲的なメンバーがいるチームなど、範囲を限定して試験的に導入しましょう。そこで小さな成功事例を作り、効果を実感したメンバーからノウハウを横展開していくことで、現場の納得感を得ながらスムーズに変革を進めることができます。

対面と非対面の長所を活かす「ハイブリッド営業」の始め方

非対面営業の導入は、対面営業を完全に否定するものではありません

むしろ、これからの時代に求められるのは、両者のメリットを戦略的に組み合わせ、顧客体験と営業生産性を最大化する「ハイブリッド営業」という考え方です。

実際に、ある調査では日本の営業担当者の86%が「ハイブリッド営業は、対面のみやリモートのみより効果的だ」と回答しており、これが新しいスタンダードになりつつあります

顧客の購買プロセスに合わせた使い分けシナリオ

ハイブリッド営業を成功させる鍵は、顧客の購買プロセスのフェーズごとに、最適な手法を使い分けることです。

以下に、一般的なシナリオ例を挙げます。

  • 初期アプローチ・情報提供:広範囲の顧客に効率的にアプローチするため、メールや電話、Webセミナーといった非対面の手法が有効です。
  • 関係構築・ヒアリング:オンライン商談で顧客の課題を深くヒアリングします。重要な顧客であれば、この段階で一度対面し、信頼関係を築くのも効果的です。
  • 重要提案・クロージング:最終提案や価格交渉など、意思決定の重要な局面では、対面で熱意や誠意を伝え、相手の細かな反応を汲み取ることが成約率を高めます。
  • アフターフォロー:定期的な連絡はメールや電話で効率的に行い、アップセルやクロスセルの提案など、重要なコミュニケーションは対面やオンライン商談で行います。

商材の価格や複雑性に応じた判断基準

どのような商材を扱っているかも、使い分けの重要な判断基準になります。

  • 高価格・複雑な商材:導入に際して顧客側の検討事項が多く、複数の部署の合意形成が必要な場合は、対面での丁寧な説明や関係構築が重要になります。非対面で初期接触を行い、商談が進んだ段階で対面に切り替えるのが王道です。
  • 低価格・単純な商材:製品仕様が分かりやすく、顧客がオンラインの情報だけで購入を判断できる場合は、非対面のみでプロセスを完結させる「セルフサーブ型」や「オンライン完結型」のモデルも可能です。

自社の顧客や商材の特性を見極め、独自の「勝ちパターン」を構築することが、ハイブリッド営業成功の鍵となります。

まとめ:非対面営業は対面営業との組み合わせで成果を最大化する

これからの営業活動は、非対面か対面かという二者択一で考えるべきではありません

非対面営業は、移動コストの削減や広範囲へのアプローチといった圧倒的な「効率」をもたらします。一方で、対面営業には、深い信頼関係を築き、相手の感情に訴えかける「熱量」があります。

この二つは対立するものではなく、互いの弱点を補い合う最強のパートナーです。両者の長所を戦略的に組み合わせる「ハイブリッド営業」こそが、変化の激しい時代を勝ち抜くための新たなスタンダードとなるでしょう。

ツールの導入や評価制度の見直しなど、変革の道のりは平坦ではないかもしれません。しかし、この記事で紹介した失敗の壁と成功のポイントを道しるべに、まずは小さな一歩から始めてみてください。その一歩が、あなたのチームを、そして会社を、新たな成長ステージへと導くはずです。

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