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CRMとMA・SFAの違いとは?目的別の機能や役割、失敗しない選び方をわかりやすく解説

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自社の営業やマーケティング活動を強化するために新しいツール導入を検討しているものの、CRMとMA(マーケティングオートメーション)の違いが曖昧で、どちらを選ぶべきか判断に迷っていませんか。「結局、自社の課題にはどれが最適なの?」「導入しても現場で使いこなせるだろうか」といった不安を抱えながら、情報収集をしている担当者の方は少なくありません。

CRMやMA、SFAといったツールは機能が重なる部分もあり、一見するとそれぞれの役割の違いが分かりにくいものです。だからこそ、各ツールの本質的な目的を理解しないまま選定を進めてしまうと、自社の課題と合わない高価なツールを導入してしまったり、現場で活用されずに形骸化してしまったりと、失敗につながるケースが多く見られます。

各ツールの基本的な役割の違いから、自社の課題に応じた最適な選び方、そして導入で失敗しないための具体的なポイントまで、意思決定に必要な知識を網羅的に解説します。

この記事の結論
  • CRMとMAの最も大きな違いは「目的」です。MAは「見込み客の育成」、CRMは「既存顧客との関係維持」を主目的とします。
  • 自社の課題が「新規の商談不足」ならMA、「既存顧客からの売上停滞」ならCRMが有力候補となります。
  • ツール選定で失敗しないコツは、いきなり高機能なツールを求めず、Excel管理からの脱却などスモールスタートを意識することです。
  • 機能だけでなく、現場の担当者が使いこなせるか(操作性)や、サポート体制の充実度も必ず確認しましょう。

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目次

CRM・MA・SFAの違いが一目でわかる比較一覧表

CRM、MA(マーケティングオートメーション)、SFA(営業支援システム)は、それぞれ異なる目的と役割を持っています。まずは、3つのツールの違いを一覧表で確認し、全体像を把握しましょう。

CRM(顧客関係管理) MA(マーケティングオートメーション) SFA(営業支援システム)
目的 顧客との良好な関係を維持・向上させ、LTV(顧客生涯価値)を最大化する 見込み客(リード)を獲得し、育成することで、質の高い商談を創出する 営業活動を可視化・効率化し、成約率の向上と売上の最大化を目指す
主な機能 顧客情報管理、問い合わせ管理、メール配信、分析レポート リード管理、スコアリング、シナリオ作成、メールマーケティング、Webアクセス解析 案件管理、商談管理、活動履歴、予実管理、日報作成
対象の顧客フェーズ 既存顧客、リピーター 見込み客(リード) 商談中の見込み客
解決できる主な課題 顧客満足度の低下、解約率の高さ、顧客情報の散在 見込み客の不足、商談化率の低さ、マーケティング施策の属人化 営業活動の属人化、案件進捗の不透明さ、営業生産性の低さ

そもそもCRM・MA・SFAとは?それぞれの目的と役割

比較表で大まかな違いを掴んだところで、次に各ツールが具体的にどのような目的を持ち、どんな役割を担うのかを詳しく見ていきましょう。それぞれのツールの本質を理解することが、自社に最適なツールを選ぶための第一歩です

CRM(顧客関係管理)とは?顧客との良好な関係を築くためのツール

CRM(Customer Relationship Management)は、その名の通り「顧客関係管理」を目的としたツールです。

企業が顧客と良好な関係を築き、その関係を長期的に維持・向上させるための戦略や考え方そのものを指すこともあります。

主な機能は、顧客の基本情報、購入履歴、問い合わせ履歴、対応履歴などを一元管理することです。

これらの情報を活用することで、顧客一人ひとりに合わせた丁寧なサポートや、適切なタイミングでのアップセル・クロスセルの提案が可能になり、顧客満足度やLTV(顧客生涯価値)の向上につなげます。

主に、カスタマーサポート部門や、既存顧客への営業活動を行う部門で活用されます。

MA(マーケティングオートメーション)とは?見込み客の獲得・育成を自動化するツール

MA(Marketing Automation)は、マーケティング活動の自動化を目的としたツールです。

Webサイトからの資料請求や問い合わせなどで獲得した見込み客(リード)の情報を一元管理し、メール配信やWebコンテンツなどを通じて育成(リードナーチャリング)します。

例えば、「特定のページを閲覧した」「料金に関するメールを開封した」といった見込み客の行動に応じてスコアを付け、購買意欲が高まったタイミングを自動で検知し、営業部門へ引き渡すといったことが可能です。

このようなCRMと連携したマーケティングオートメーションの仕組みは、手作業では膨大な時間がかかるプロセスを効率化し、質の高い商談を安定的に創出する役割を担います。

SFA(営業支援システム)とは?営業活動の効率化と可視化を実現するツール

SFA(Sales Force Automation)は、営業部門の活動を支援し、効率化することを目的としたツールです。

商談の進捗状況、営業担当者の活動内容、受注確度などをリアルタイムで可視化します。

これにより、営業担当者個人のスキルや経験に依存しがちだった営業活動が標準化され、チーム全体でのパフォーマンス向上が期待できます。

また、マネージャーは各案件の状況を正確に把握できるため、的確な指示やサポートが可能になり、売上予測の精度も向上します。日報作成の自動化など、営業担当者の事務作業を削減する機能も備わっています。

CRMは「戦略」、MA・SFAは「戦術」と捉えよう

CRM、MA、SFAの関係性を理解する上で、「CRMが最も広義な概念である」と覚えておくと分かりやすいでしょう。

顧客と長期的な関係を築くという大きな「戦略」がCRMであり、その戦略を実行するための具体的な「戦術」を担うのがMA(マーケティング)とSFA(営業)です。

  • CRM: 顧客管理全体の戦略・基盤
  • MA: 見込み客を獲得・育成するための戦術ツール
  • SFA: 商談を進め、受注に繋げるための戦術ツール

多くの高機能なCRMツールは、MAやSFAの機能を内包しているか、簡単に連携できるよう設計されています。これは、顧客との関係がマーケティング活動から始まり、営業、そして購入後のサポートまで一貫してつながっているためです。

CRM・MA・SFAの連携で実現できることとは?

CRM、MA、SFAはそれぞれ単体でも効果を発揮しますが、これらを連携させることで、部門の壁を越えた一貫性のある顧客対応が可能になり、相乗効果が生まれます

具体的には、MAで獲得・育成した見込み客の情報が自動的にSFAに引き継がれ、営業担当者はその情報をもとに最適なアプローチを行います。

そして、受注後の顧客情報はCRMに蓄積され、カスタマーサポート部門がその後のフォローやアップセルに活用する、というように、顧客データがスムーズに連携されるのです。

マーケティング部門と営業部門の連携を強化する

多くの企業では、マーケティング部門と営業部門の間で「もっと質の高いリードを渡してほしい」「渡したリードをしっかりフォローしてほしい」といった対立が起こりがちです。

ツールを連携させることで、リードの獲得から商談化、受注に至るまでのプロセスがすべてデータで可視化されます

これにより、「どのような行動をしたリードが受注につながりやすいか」といった共通の指標(KPI)をもとに建設的な議論ができるようになり、部門間の連携が強化されます。これは、組織のサイロ化を防ぐ上でも非常に重要です。

顧客一人ひとりに最適なアプローチを実現する

ツール連携によって顧客情報が一元管理されると、顧客のあらゆる接点における行動履歴を把握できます。

例えば、営業担当者は、商談前に「その顧客が過去にどんなセミナーに参加し、どの製品ページのWebコンテンツを閲覧したか」をMAのデータで確認できます。

また、カスタマーサポートは「過去にどのような商談を経て契約に至ったか」をSFAのデータで把握した上で対応できます。

このように、顧客の状況や背景を深く理解した上でコミュニケーションが取れるため、顧客一人ひとりにとって最適なアプローチが実現し、顧客満足度の向上に直結します

【課題別】自社に最適なツールはどれ?導入目的から考える選び方

ここまで各ツールの役割や連携のメリットを解説してきましたが、最も重要なのは「自社の課題を解決できるツールはどれか」という視点ですあなたの会社が今、最も解決したい課題は何でしょうか。ここでは、よくある課題別に最適なツールの選び方を解説します。

ケース1. 見込み客の数が足りない・商談につながるリードを育てたい

この課題を抱えている場合、まず検討すべきは「MA(マーケティングオートメーション)」です。

Webサイトやセミナーなどで獲得した見込み客に対し、手動でメールを送ったり電話をかけたりするのは非効率です。

MAツールを導入すれば、見込み客の興味関心に合わせた情報提供を自動化し、効率的に購買意欲を高めることができます。これにより、営業部門は確度の高い商談に集中できるようになります。

ケース2. 営業担当者の活動が属人化している・商談の進捗を可視化したい

「トップ営業マンのノウハウが共有されない」「誰がどの案件をどこまで進めているのか分からない」といった課題には、「SFA(営業支援システム)」が最適です

SFAを導入することで、営業活動のプロセスやナレッジがチーム全体で共有され組織としての営業力強化につながります

また、マネージャーはリアルタイムで進捗を把握し、的確なアドバイスを送ることができるため、案件の取りこぼしを防ぎ、売上予測の精度を高めることができます。

ケース3. 顧客情報がバラバラで活用できていない・解約率を下げたい

顧客情報がExcelや各担当者のPC内に散在し、有効活用できていない場合や、既存顧客の解約率の高さに悩んでいる場合は、「CRM(顧客関係管理)」の導入が効果的です。

CRMで顧客情報を一元管理することで、問い合わせに対して迅速かつ的確な対応が可能になり、顧客満足度が向上します。

蓄積されたデータを分析すれば、解約の予兆を検知したり、優良顧客に対して特別なアプローチを行ったりと、LTVを最大化するための施策を打つことができます。

まずはExcelからの移行を目指す場合の考え方

「まだ本格的なツールを導入するほどの規模ではない」と感じる場合は、いきなり多機能なツールを目指す必要はありません

まずは、現在Excelやスプレッドシートで行っている顧客管理からの脱却を第一目標に設定しましょう

安価でシンプルな機能を持つCRMやSFAの中には、顧客リストの整理や情報共有といった基本的な機能に特化したものもあります。このようなツールからスモールスタートし、事業の成長に合わせて機能を拡張していくのが現実的なアプローチです。

ツール導入で失敗しないために押さえるべき3つのポイント

自社に合ったツールを選んだとしても、導入が成功するとは限りません。公的機関の調査でも、多くの企業が「導入したツールを従業員が使いこなせない」といった課題を抱えていることが指摘されています。ここでは、ツールの導入で失敗しないために、選定前に必ず押さえておくべき3つのポイントを解説します。

1. 導入する目的と解決したい課題を明確にする

最もよくある失敗が、「ツールを導入すること」自体が目的になってしまうケースです。

「競合が導入したから」「流行っているから」といった理由で導入すると、何のために使うのかが曖昧になり、結局誰も使わない「宝の持ち腐れ」状態に陥ります。

導入前に、「売上を10%向上させたい」「解約率を5%改善したい」「営業の日報作成時間を半分にしたい」など、具体的で測定可能な目的(KGI/KPI)を設定し、それを達成するためにツールが必要なのだという共通認識を社内で持つことが不可欠です。

2. 実際に使う現場のメンバーを巻き込む

ツールを導入するのは経営層や情報システム部門でも、実際に日々ツールを使うのは現場のマーケティング担当者や営業担当者です。

彼らの意見を聞かずにトップダウンでツールを決定してしまうと、「入力が面倒」「今のやり方の方が早い」といった反発を招き、定着しません。

ツール選定の段階から現場のメンバーを巻き込み、彼らが抱える課題をヒアリングしたり、ツールのデモを一緒に試したりすることで、当事者意識が生まれ、導入後のスムーズな活用につながります

3. 将来の拡張性を見据えつつ、スモールスタートを心がける

最初から全ての機能を完璧に使いこなそうとすると、現場の負担が大きくなりすぎて挫折の原因になります。

まずは「最も解決したい課題」を一つに絞り、それを解決するために必要な最小限の機能から使い始める「スモールスタート」を心がけましょう

一方で、注意したいのが初期費用だけでツールを選んでしまうことです。安価なツールは機能不足やサポート体制の不備から、後々の乗り換えでデータ移行や再教育といった「隠れたコスト」が発生し、結果的に総所有コスト(TCO)が高くなるリスクがあります。自社の成長に合わせて機能を追加できるか、他システムとの連携は可能かといった将来の拡張性も見据えた上で、バランスの取れたツールを選ぶことが重要です。

まとめ:自社のフェーズと課題に合ったツール選びから始めよう

CRM、MA、SFAは、それぞれ得意な領域が異なるツールであり、どれが優れているというものではありません。

最も大切なのは、それぞれの違いを正しく理解した上で「自社の事業フェーズと解決したい課題」に最も合致したツールを選ぶことです。

この記事で解説した内容を参考に、まずは自社の課題を改めて整理し、言語化することから始めてみてください

それが、ツール導入を成功させ、ビジネスを次のステージへ進めるための確実な第一歩となるはずです。

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