「営業から人事へキャリアチェンジしたいけれど、自分の経験が本当に通用するのだろうか」「面接で『営業から逃げたいだけでは?』と思われないか不安だ」——そんな気持ちを抱えながら、転職活動の一歩を踏み出せずにいませんか。
営業職から人事職へのキャリアチェンジは、決して珍しい道ではありません。しかし、営業と人事の仕事の繋がりをうまく言語化できなかったり、年収が下がるリスクを過度に恐れたりするあまり、自己PRでつまずいてしまう方が多いのも事実です。その結果、せっかくの強みを活かせず、自信を失ってしまうケースは少なくありません。
あなたの営業経験がなぜ人事の仕事で強力な武器になるのか、その論理的な根拠から、説得力のある志望動機の作り方、そして後悔しないためのリアルな注意点まで、成功への道を具体的に案内します。
- あなたの営業経験、特に「目標達成思考」と「対人折衝能力」は、採用や教育研修といった人事業務で強力な武器になります。
- 志望動機では「なぜ人事か」に加え、「なぜ“営業経験者である自分が”人事なのか」という一貫したストーリーを語ることが重要です。
- 未経験から挑戦する場合、まずは採用担当など、営業経験を直接活かしやすい領域からキャリアを始めるのが成功の近道です。
- 年収ダウンのリスクは実在しますが、人事としての専門性を高めることで、将来的には営業時代以上の安定した高収入を目指すことも可能です。
- 転職後に後悔しないために、人事の華やかな面だけでなく、地道な調整業務や事務作業といったリアルな仕事内容も理解しておきましょう。
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【解決できる課題】
- 営業メンバーがSFA/CRMに情報入力しないため、社内に定性情報が残らない
- 営業メンバーの報告内容が正確でなく、個別の状況確認や録画視聴に時間がかかってしまう
- 営業戦略策定に必要な情報が溜まっておらず、受注/失注分析ができない・有効な示唆がでない
- 今注力すべき案件の優先度が立てられず、営業活動が非効率
- フォローアップすべき案件が漏れてしまい、機会損失が生まれている
- 提案や新人教育が属人化しており、事業拡大のボトルネックになっている
営業から人事へのキャリアチェンジは「有利」になる理由
「未経験なのに、本当に有利なの?」と疑問に思うかもしれません。しかし、多くの企業、特に経営層は、事業の最前線を知る営業経験者を人事として求めています。
なぜなら、机上の空論ではない、現場感のある人事戦略を立てられるからです。社員がどんなことで悩み、何にモチベーションを感じるのか。営業という立場で顧客や社内と向き合ってきたあなただからこそ、血の通った採用、育成、制度設計ができると期待されています。
結論:営業経験は人事の仕事で強力な武器になる
結論から言えば、あなたの営業経験は、人事の仕事で他に代えがたい強力な武器になります。
数字を追いかける中で培われた目標達成意欲、多様な顧客と信頼を築いてきたコミュニケーション能力、そして会社の顔として矢面に立ってきた精神的なタフさ。これらはすべて、人事という職務で高く評価されるポータブルスキルです。
大切なのは、その経験を人事の文脈で語り直し、再現性のあるスキルとしてアピールすることです。
「営業から逃げた」と思われないための心構え
面接官が最も懸念するのは、「営業のノルマが辛いから」というネガティブな動機です。
これを払拭するには、「営業の仕事を通して、新たな課題意識が生まれた」というポジティブなストーリーに転換することが不可欠です。
例えば、「多くの顧客と接する中で、製品力だけでなく『人』の力が事業成長の鍵だと痛感した。これからは、社員の成長を支える側から会社に貢献したい」といった形です。営業経験を否定するのではなく、次のステージへの必然的なステップとして語ることで、あなたのキャリアチェンジは「逃げ」ではなく「挑戦」として映ります。
人事でこそ輝く!営業経験が活かせる4つのスキル
あなたが営業として日々奮闘する中で培ってきたスキルは、人事の様々な場面で具体的に活かすことができます。ここでは、特に重要な4つのスキルを解説します。
自分の経験と照らし合わせながら読み進めることで、自己PRの強力な根拠が見つかるはずです。
1. 課題発見力と対人折衝能力
営業の基本は、顧客の潜在的な課題を引き出し、解決策を提示することです。このスキルは、人事の仕事、特に採用面接や社員面談で絶大な効果を発揮します。
候補者の話から本音や価値観を引き出し、自社とのマッチングを見極める力。社員が抱えるキャリアの悩みに寄り添い、ときには厳しい労務交渉をまとめる力。これらはまさに、営業で培った対人折衝能力そのものです。
2. 目標達成意欲と実行力
営業にとって「目標達成」は至上命題です。このコミットメントの強さは、人事の仕事でも同様に求められます。
「年間50名のエンジニアを採用する」といった採用目標に対して、達成までのプロセスを設計し、あらゆる手段を講じて実行する力。新しい人事制度を導入する際に、社内の抵抗を乗り越え、粘り強く推進していく力。数字で成果を語れる営業経験者は、目標達成意欲の高い人事として評価されます。
3. 経営視点とビジネスへの理解
優れた営業は、自社の製品やサービスがビジネス全体の中でどのような価値を持つかを理解しています。この経営に近い視点は、戦略的人事(HRBP)を目指す上で不可欠です。
事業計画を達成するために、どのような人材が必要か。全社のビジネスモデルを理解した上で、採用計画や育成体系を立案できる人事。こうした経営視点を持つ人材は、他の人事候補者との大きな差別化要因になります。
4. ストレス耐性とタフな精神力
経営層と従業員の板挟みになったり、デリケートな労務問題に対応したりと、人事の仕事は精神的な負担が大きい場面も少なくありません。
厳しいノルマや顧客からのクレーム対応など、様々なプレッシャーを乗り越えてきた営業経験者のストレス耐性は、こうした場面で大きな強みとなります。困難な状況でも冷静に対応し、物事を前に進めるタフな精神力は、人事として長く活躍するための重要な資質です。
営業から人事へ|知っておくべき仕事内容のリアルと注意点
人事の仕事に華やかなイメージを抱いている方もいるかもしれません。しかし、転職後に「こんなはずではなかった」と後悔しないためには、そのリアルな姿を正しく理解しておくことが重要です。
人事の主な仕事領域:採用・労務・研修・制度設計
人事の仕事は、大きく分けて以下の4つの領域に分類されます。企業規模によっては、一人が複数の領域を兼任することもあります。
- 採用:会社の成長に必要な人材を確保する仕事。母集団形成から面接、内定者フォローまでを担当します。営業経験を最も活かしやすい領域の一つです。
- 労務:社員が安心して働ける環境を整える仕事。給与計算、社会保険手続き、勤怠管理、福利厚生などを担当します。正確性と法律知識が求められます。
- 研修・育成:社員の能力開発を支援する仕事。新入社員研修から管理職研修まで、様々なプログラムを企画・運営します。
- 制度設計:人事評価制度や報酬制度など、組織の根幹となるルールを作る仕事。経営戦略と密接に関わる、非常に重要な役割です。
人事の仕事は、採用のような華やかな業務ばかりではありません。ビジネス界では「人事の仕事は、華やかなのが2割、地道な事務作業が8割」とよく例えられます。これは統計データではなく、人事の仕事の現実を伝えるための経験則ですが、多くの業務が地道な調整や緻密な事務作業で成り立っていることを示しています。
営業経験者が陥りがちなギャップと失敗談
営業から人事へ転職した人が、最初に戸惑いやすいポイントがいくつかあります。事前に知っておくことで、スムーズな立ち上がりが可能になります。
- 成果が見えにくい:営業のように「売上〇円」といった明確な数字で成果を測りにくいのが人事の仕事です。自分の仕事の価値を実感できるまで時間がかかり、もどかしさを感じるかもしれません。
- 評価軸の違い:個人の成果が評価に直結しやすい営業と異なり、人事は組織全体への貢献度が重視されます。他部署との連携や縁の下の力持ちとしての役割が求められます。
- 社内調整の複雑さ:新しい制度を導入する際など、全部署の理解と協力を得る必要があります。社外の顧客との交渉とは異なる、社内ならではの調整の難しさに直面することがあります。
営業から人事への転職を成功させる具体的ステップ
ここからは、実際に転職活動を成功させるための具体的なステップを解説します。特に重要な「志望動機」「面接対策」「年収」の3つのポイントを押さえましょう。
1. 説得力のある志望動機の作り方【例文付き】
説得力のある志望動機には、一貫したストーリーが必要です。以下の3つの要素を盛り込み、あなただけの物語を構築しましょう。
- Why HR?(なぜ人事なのか):営業経験を通して、なぜ「人」という領域に興味を持ったのかを語る。
- Why Me?(なぜあなたなのか):あなたの営業経験が、人事の仕事でどのように活かせるのかを具体的に示す。
- Why This Company?(なぜこの会社なのか):その会社の事業や組織、人事課題に惹かれた理由を明確にする。
【例文】
「前職ではITソリューションの営業として、5年間で約100社の企業の課題解決に携わってまいりました。多くの経営者と話す中で、企業の成長を最終的に左右するのは、テクノロジーだけでなく『人』の力であると強く実感しました。(Why HR?)
特に、顧客の潜在ニーズを引き出し、最適な提案を行う対話力は、採用候補者の本質を見抜き、惹きつける上で必ず活かせると考えております。また、年間目標を達成し続けた実行力は、貴社が掲げる積極的な採用計画を推進する原動力になると確信しています。(Why Me?)
事業の多角化を推進されている貴社において、多様な人材の採用と育成が急務であると存じます。私の営業経験を活かし、事業戦略に貢献できる人事として貴社の成長を支えたいです。(Why This Company?)」
2. 面接で必ず聞かれる質問と効果的な回答例
営業から人事への転職面接では、キャリアチェンジの理由と覚悟を問う質問が必ず投げかけられます。事前準備を万全にして臨みましょう。
- 質問1:「なぜ営業ではなく、人事の仕事がしたいのですか?」
→ 回答のポイント:「営業の仕事で得た課題意識」を起点に、人事への意欲を語ります。「営業はもうやりたくない」というニュアンスは絶対に避けましょう。 - 質問2:「あなたの営業経験を、人事としてどう活かせますか?」
→ 回答のポイント:この記事で解説した4つのスキルなどを参考に、具体的な業務と結びつけて回答します。「採用面接で対話力を活かし〜」「目標達成力を活かして採用計画を〜」のように、具体性が重要です。 - 質問3:「人事の仕事の地味な部分も理解していますか?」
→ 回答のポイント:仕事内容のリアルを理解していることを示し、それも含めて挑戦したいという覚悟を伝えます。「給与計算や社会保険手続きなど、正確性が求められる定型業務も組織の土台を支える重要な仕事だと認識しています」といった回答が有効です。
近年、注目されているキャリアパスに「営業人事(HRBP:Human Resource Business Partner)」があります。
これは、特定事業部門のパートナーとして、経営戦略や事業戦略に基づいた人事施策を立案・実行する専門職です。
事業の現場を深く理解している必要があるため、営業経験者がまさに適任と言えます。単なる採用担当に留まらず、事業の成長に直接的に貢献したいと考えるなら、HRBPを目指すというキャリアプランも視野に入れてみてはいかがでしょうか。
3. 年収ダウンを避けるための企業選びと交渉術
未経験職種への転職では、一時的に年収が下がるリスクは確かに存在します。しかし、企業選びと準備次第で、そのリスクを最小限に抑えることは可能です。
公的な統計データを見ても、職種や業種によって平均年収には差があります。例えば、IT業界やコンサルティング業界など、業界全体の給与水準が高い企業の人事職を狙うのは有効な戦略です。
また、インセンティブがなくなる分、基本給や賞与の評価制度がどうなっているかを確認することも重要です。面接の場では、これまでの営業実績を具体的に提示し、それが人事の仕事でどのように再現できるかを論理的に説明することで、強気の交渉が可能になります。
たとえ一時的に年収が下がったとしても、人事としての専門性を高め、経験を積むことで、将来的には営業時代以上の安定した高収入を目指すことは十分に可能です。
まとめ:あなたの営業経験は、人事のプロになるための貴重な資産です
営業から人事へのキャリアチェンジは、決して「逃げ」ではありません。それは、あなたが顧客やビジネスと真摯に向き合ってきたからこそ見えてきた、新たな挑戦です。
目標達成意欲、対人折衝能力、経営視点、そしてタフな精神力。これらはすべて、これからのあなたを支える貴重な資産となります。
この記事で紹介したポイントを参考に、自信を持ってあなたの言葉で志望動機を語ってください。あなたの営業経験は、人事のプロになるための最高のスタートラインになるはずです。


