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営業マニュアルの作り方を5ステップで解説|すぐに使えるテンプレートと例文も紹介

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新しく営業チームの責任者になったけれど、何から手をつければいいか分からない。「担当者によって提案の質がバラバラで困る」「エース社員が辞めたらどうしよう」といった不安を抱えていませんか。とりあえず営業マニュアルを作ろうと思っても、具体的に何を書けばいいのか、どう進めれば現場で使われるものになるのか、迷ってしまうのではないでしょうか。

多くの企業では、営業ノウハウが特定の個人の経験や勘に依存しがちです。その結果、新人が入るたびにOJTで同じことを教える非効率が生まれたり、せっかく作ったマニュアルが誰にも読まれず形骸化してしまったりと、貴重な時間と労力が無駄になるケースは少なくありません。これは担当者の問題ではなく、マニュアル作成の正しい手順や運用方法が共有されていないという構造的な課題なのです。

成果を標準化し、組織全体の営業力を底上げする営業マニュアルの作り方について、具体的なステップからすぐに使えるテンプレート、そして現場で確実に使われるための定着のコツまで、必要な情報を網羅的に解説します。

この記事の結論
  • 営業マニュアル成功の鍵は、現場のエースやメンバーを巻き込み、彼らの成功ノウハウを盛り込む「作成プロセス」にあります。
  • 完璧を目指さず、まずは「トークスクリプト」や「よくある質問集」など、最も重要な項目からスモールスタートしましょう。
  • マニュアルは「作って終わり」ではなく、市場や顧客の変化に合わせて改善し続ける「生き物」として扱いましょう。
  • テンプレートを賢く活用することで、作成の負担を大幅に減らし、中身のブラッシュアップに時間を使いましょう。

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【解決できる課題】

  • 営業メンバーがSFA/CRMに情報入力しないため、社内に定性情報が残らない
  • 営業メンバーの報告内容が正確でなく、個別の状況確認や録画視聴に時間がかかってしまう
  • 営業戦略策定に必要な情報が溜まっておらず、受注/失注分析ができない・有効な示唆がでない
  • 今注力すべき案件の優先度が立てられず、営業活動が非効率
  • フォローアップすべき案件が漏れてしまい、機会損失が生まれている
  • 提案や新人教育が属人化しており、事業拡大のボトルネックになっている
目次

営業マニュアルとは?目的と3つの大きなメリットを解説

営業マニュアル(セールスマニュアル)とは、営業活動における方針、プロセス、ノウハウなどを体系的にまとめた手引書のことです。

単なる手順書ではなく、組織全体の営業力を底上げし、安定した成果を生み出すための「仕組み」そのものと言えます。

なぜ今、営業マニュアルが必要とされるのか。その背景には、多くの企業が抱える共通の課題があります。ここでは、マニュアルを作成することで得られる3つの大きなメリットを解説します。

1. 営業活動の属人化を防ぎ、品質を標準化する

最大のメリットは、営業活動の属人化を防げることです。

特定のトップセールスに依存した組織は、その人が退職・異動した際に売上が急落するリスクを常に抱えています。ある調査では、実に83.2%もの企業が営業の属人化を課題として認識しているというデータもあります。

営業マニュアルによって成功パターンや行動基準を共有することで、誰が担当しても顧客に提供する価値のブレをなくし、営業品質を高いレベルで標準化できます

2. 新人教育のコストを削減し、即戦力化を促す

新人教育の効率化も大きなメリットです。

体系的な教育制度がない場合、OJTは指導担当者のスキルに依存し、新人が育つまでに時間がかかります。厚生労働省の調査でも、人材育成の課題として「指導する人材が不足している」と回答した事業所は53.6%に上ります。

営業マニュアルがあれば、新人は基礎知識や業務フローを自律的に学習でき、指導担当者はより実践的な指導に集中できます。これにより、教育にかかる時間とコストを大幅に削減し、新人の早期戦力化を促進します

3. 組織全体の営業ノウハウを蓄積・共有する

営業マニュアルは、個人の頭の中にしかない「暗黙知」を、組織共有の「形式知」へと変える強力なツールです。

トップセールスが持つ独自のヒアリング手法やクロージングのコツ、あるいは失敗から得た教訓などをマニュアルに落とし込むことで、それらは個人のスキルから組織の資産へと変わります

ノウハウが組織に蓄積されれば、退職による知識の流出を防ぎ、チーム全体の営業力を継続的に強化していく土台ができます。

営業マニュアルに盛り込むべき必須項目7選

いざ作ろうと思っても、何を書けばいいのか分からない」という方も多いでしょう。

ここでは、成果につながる営業マニュアルに最低限盛り込むべき7つの必須項目を紹介します。これらをベースに、自社の状況に合わせて内容をカスタマイズしていきましょう。

1. 基本方針(企業理念・行動指針)

営業活動の土台となる、企業の理念やビジョン、営業担当者として遵守すべき行動指針などを記載します。

「私たちは何のためにこの商品を売るのか」「顧客に対してどうあるべきか」という共通の価値観を持つことで、日々の判断に一貫性が生まれ、チームの結束力も高まります

2. 商品・サービス知識

自社の商品やサービスに関する詳細な情報です。

単なるスペックだけでなく、開発背景、解決できる顧客の課題、価格設定の根拠、そして競合製品と比較した際の優位性までを網羅します。顧客からの質問に自信を持って答えられるよう、専門的な知識を分かりやすくまとめましょう。

3. 市場・顧客情報(ペルソナ)

ターゲットとなる市場の動向や、顧客の具体的な人物像(ペルソナ)に関する情報です。

どのような業界の、どんな役職の人が、どんな課題を抱えているのかを具体的に定義します。顧客への理解が深まることで、より的確なアプローチが可能になります。

4. 営業プロセス・フロー

見込み顧客の発見からアポイント獲得、提案、クロージング、受注後のフォローまで、営業活動の各ステップを具体的に定義します

各フェーズで「誰が」「何を」「いつまでに行うべきか」を明確にすることで、活動の抜け漏れを防ぎ、営業プロセス全体を管理しやすくなります。

5. 営業トークスクリプト・応酬話法

電話でのアポイント獲得、初回訪問時の自己紹介、商品説明、反論への切り返しなど、場面別の具体的な会話例をまとめたものです。

特に経験の浅いメンバーにとっては、これを型として覚えることで自信を持って顧客と対話できるようになります。成功率の高いトークを標準化することで、チーム全体の成果を底上げします。

6. 成功事例(ナレッジ)

実際に受注につながった成功事例を共有します。

「どのような課題を持つ顧客に」「どのような切り口で提案し」「何が決め手となって受注に至ったのか」を具体的に記述します。成功のパターンを学ぶことで、他のメンバーも同様のケースで成果を出しやすくなります。

7. 各種ルール・ツール利用方法

日報の書き方、経費精算のルールといった事務的な決まりごとや、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)などのツールの具体的な操作方法を記載します

細かいルールを明文化しておくことで、確認の手間が省け、業務全体の効率化につながります

【テンプレート付】営業マニュアルの作り方5ステップ

ここからは、実際に営業マニュアルを作成するための具体的な手順を5つのステップで解説します。

完璧を目指す必要はありません。まずはこのステップに沿って、自社の「たたき台」となるマニュアルを作ってみましょう。すぐに使えるテンプレートも用意しているので、ぜひご活用ください。

(※テンプレートのダウンロードリンクは後ほどこちらに設置されます)

ステップ1. 作成目的とターゲット(利用者)を明確にする

最初に「誰のために、何のために作るのか」を定義します

例えば、「入社3ヶ月以内の新人が、一人で商談できるようになること」が目的なのか、「中堅メンバーの提案の質を底上げすること」が目的なのかで、盛り込むべき内容の深さや表現は大きく変わります。

目的とターゲットが明確になることで、マニュアル全体の方向性が定まり、内容がブレるのを防げます

ステップ2. 盛り込むべき情報を整理・収集する

次に、ステップ1で決めた目的に基づき、マニュアルに盛り込むべき情報を集めます。

最も重要なのは、ハイパフォーマー(トップセールス)の頭の中にあるノウハウをヒアリングすることです。彼らが無意識に行っている思考プロセスや行動のコツを引き出し、言語化・体系化することが、マニュアルの価値を決めます。

その他、既存の提案資料や日報、顧客からのよくある質問なども貴重な情報源となります。

トップセールスの“暗黙知”を引き出すヒアリングのコツ

成果を上げている営業担当者へのヒアリングは、マニュアルの質を左右する重要なプロセスです。しかし、単に「コツを教えてください」と聞いても、本人も無意識にやっていることが多く、具体的な答えは返ってきません。以下のポイントを意識してヒアリングに臨みましょう。

  • 具体的な案件を基に聞く:「最近うまくいった〇〇社の案件ですが」と特定の事例を挙げ、「最初の接点は何でしたか?」「どんな質問をしましたか?」と時系列で行動を振り返ってもらいます。
  • 「なぜ?」を繰り返す:「なぜそのタイミングでその提案をしたのですか?」のように、「なぜ」を問いかけることで、行動の背景にある思考プロセスや判断基準を深掘りします。
  • 失敗談も聞く:成功体験だけでなく、「うまくいかなかったこと」や「ヒヤリとしたこと」も聞きましょう。失敗から得た教訓は、他のメンバーが同じ轍を踏まないための貴重な情報になります。

ヒアリングは1回で終わらせず、複数回に分けて行うのがおすすめです。録音させてもらい、後から文字起こしをすると、重要なポイントを漏らさず整理できます。

ステップ3. 全体の構成案(目次)を作成する

集めた情報を基に、マニュアル全体の骨子となる構成案(目次)を作成します

前述の「盛り込むべき必須項目7選」を参考にしながら、自社のターゲットと目的に合わせて項目の順番を入れ替えたり、独自の項目を追加したりして、最適な構成を考えましょう

この段階で関係者(上司や営業メンバー)に目次案を共有し、フィードバックをもらうことで、後の手戻りを防げます。

ステップ4. 各項目の内容を具体的に記述する

構成案が決まったら、いよいよ各項目の内容を執筆していきます。

文章だけで説明するのではなく、図や表、フローチャートなどを積極的に活用し、視覚的に理解しやすいように工夫しましょう。専門用語は避け、誰が読んでも分かる平易な言葉で書くことが重要です。

特にトークスクリプトや成功事例は、具体的な会話や状況が目に浮かぶように、臨場感を持って記述することを心がけましょう

ステップ5. 定期的な更新ルールと担当者を決める

営業マニュアルは、一度作ったら終わりではありません

市場環境や顧客ニーズ、商品仕様は常に変化します。マニュアルが実態と乖離してしまわないよう、定期的に内容を見直すための運用ルールを必ず決めましょう

誰が(担当者)」「いつ(更新頻度)」「どのように(更新プロセス)」を明確に定めておくことが、マニュアルを「生きたツール」として維持するための鍵となります。

【例文あり】すぐに使える営業マニュアルの項目別サンプル

ここでは、特にニーズの高い3つの項目について、すぐに使える営業マニュアルの例文やサンプルを紹介します

これらのサンプルを参考に、ぜひ自社版にカスタマイズしてみてください

営業トークスクリプトの例文(アポイント獲得時)

電話で新規顧客にアプローチする際のトークスクリプト例です。


【受付】
お世話になっております。
株式会社〇〇の〇〇と申します。
営業部の〇〇様(ご担当者様)はいらっしゃいますでしょうか。

【担当者】
お電話代わりました、〇〇です。

【担当者への切り出し】
お忙しいところ恐れ入ります。
私、株式会社〇〇で〇〇(商品・サービス名)を担当しております〇〇と申します。
現在、〇〇業界の企業様向けに、〇〇(課題)を解決するご提案をしておりまして、ぜひ一度、貴社の状況をお伺いできればと思いご連絡いたしました。
つきましては、情報提供だけでも結構ですので、来週あたり5分ほどお時間をいただくことは可能でしょうか。

ヒアリングシートのサンプル

顧客の課題を深掘りし、提案の精度を高めるためのヒアリング項目例です。

  • 現状について(As Is)
    • 現在、〇〇の業務はどのように行っていますか?
    • その業務において、特に課題に感じている点は何ですか?
    • その課題によって、どのような問題が生じていますか?(コスト、時間、機会損失など)
    • これまで、その課題を解決するために何か対策はされましたか?
  • 理想の状態について(To Be)
    • 今後、〇〇の業務がどのような状態になるのが理想ですか?
    • その理想の状態を実現する上で、障壁となっていることは何ですか?
  • 導入・検討について
    • 今回の件について、ご予算はどのくらいでお考えですか?
    • 導入する場合、いつ頃からを想定されていますか?
    • 最終的な意思決定は、どなたがされますか?

クロージング手法の具体例

商談の最終段階で、顧客の意思決定を後押しするためのクロージング手法の例です。

  • テストクロージング:「もし、〇〇という懸念点が解消されたとしたら、前向きにご検討いただけますでしょうか?」と問いかけ、契約への障壁が何かを特定する。
  • 選択肢の提示:「プランはAとBがございますが、どちらが貴社のニーズに近いでしょうか?」と二者択一で問いかけ、自然な流れで導入を前提とした話に進める。
  • 期限の設定:「本日までにご契約いただければ、こちらの特別価格でご提供できます」と期限を設けることで、意思決定を促す。(※多用は禁物)

作っただけでは無意味!営業マニュアルを現場に定着させる3つのコツ

どんなに素晴らしい営業マニュアルを作っても、現場で使われなければ意味がありません

マニュアルが「お飾り」になってしまうのを防ぎ、組織の血肉となる「生きたツール」にするためには、作成後の運用・浸透のプロセスが極めて重要です

ここでは、マニュアルを現場に定着させるための3つのコツを紹介します。

1. 作成段階から現場のメンバーを巻き込む

最も重要なのは、作成段階から現場の営業メンバーを巻き込むことです。

マネージャーだけで作ったマニュアルをトップダウンで押し付けても、「現場を知らない人が作ったもの」と反発を招くだけです。

プロジェクトチームに若手や中堅メンバーにも参加してもらい、ヒアリングや意見交換を重ねることで、「自分たちのマニュアル」という当事者意識が芽生えます。これが、導入後のスムーズな活用につながります

2. マニュアルを使った研修やロールプレイングを定期開催する

マニュアルを配布して「読んでおいて」で終わらせてはいけません。

マニュアルの内容をテーマにした勉強会や、トークスクリプトを使ったロールプレイング研修などを定期的に開催し、マニュアルに触れる機会を意図的に作りましょう

実践的なトレーニングを通じて使い方を体得することで、知識がスキルとして定着し、実際の営業現場でマニュアルが活用されるようになります。

3. マニュアルの活用度や成功事例を共有・賞賛する

マニュアルを活用して成果を上げたメンバーや事例を、チーム全体で共有し、積極的に賞賛する文化を作りましょう。

例えば、週次の営業ミーティングで「マニュアルの〇〇を参考にしたら、うまくアポが取れました」といった成功体験を発表してもらうのです。

「マニュアルを使うと成果が出る」というポジティブな認識がチームに広がることで、他のメンバーの自発的な活用が促進されます

まとめ

営業マニュアルは、単なる業務手順書ではありません。

属人化という根深い課題を解決し、組織全体の営業力を底上げするための、まさに「営業の仕組み」そのものです。

この記事で紹介した作り方のステップやテンプレート、そして定着のコツを参考に、まずは「60点でもいいから作ってみる」という気持ちで第一歩を踏み出してみてください。

現場のメンバーと共に育てていくことで、マニュアルは必ず、あなたのチームを成功に導く強力な武器となるはずです

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