「最近、チームの成果が伸び悩んでいる…」「部下に昔ながらの営業スタイルが染み付いていて、どう指導すればいいか分からない」と感じていませんか。「そもそも、今の時代に求められる営業の役割とは何なのか?」と、根本的な問いに行き着く営業管理職の方は少なくありません。
多くの企業では、営業の役割について体系的に学ぶ機会がほとんどないのが実情です。だからこそ、過去の成功体験に頼ったマネジメントに陥りがちになり、顧客の購買行動の変化に対応できず、チーム全体の士気が下がってしまうという課題が生まれます。
現代ビジネスにおける営業の役割の定義から、部下が自律的に動く強いチームを作るための具体的なステップまでを網羅的に解説。この記事を読めば、明日からチームを変えるための具体的な行動指針が手に入ります。
- 現代の営業の役割は、単なる「売り子」ではなく、顧客の課題を解決する「ビジネスパートナー」です。
- 成果を出すチームを作るには、インサイドセールスやカスタマーサクセスとの明確な「役割分担」が不可欠です。
- 役割を定義するだけでなく、具体的な行動目標や評価制度に落とし込み、チームに「浸透」させることが最も重要です。
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【解決できる課題】
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- 営業メンバーの報告内容が正確でなく、個別の状況確認や録画視聴に時間がかかってしまう
- 営業戦略策定に必要な情報が溜まっておらず、受注/失注分析ができない・有効な示唆がでない
- 今注力すべき案件の優先度が立てられず、営業活動が非効率
- フォローアップすべき案件が漏れてしまい、機会損失が生まれている
- 提案や新人教育が属人化しており、事業拡大のボトルネックになっている
そもそも営業の役割とは何か?基本を再確認
営業の役割とは、一言で言えば「企業の売上と成長を最前線で牽引する」ことです。
これは昔も今も変わらない、営業という職種の根幹をなすミッションです。
しかし、そのミッションを達成するための「手段」や「アプローチ」は、時代とともに大きく変化しました。
かつての営業マンは、足しげく顧客のもとに通い、製品の魅力を伝え、契約を取ってくる「御用聞き」や「売り子」としての側面が強いものでした。
一方、現代のビジネスシーンにおける営業の役割は、単に商品を売ることだけではありません。
顧客が抱える課題を深く理解し、自社の製品やサービスを通じてその解決策を提示し、顧客のビジネスを成功に導く「パートナー」としての役割が求められています。
本質的な意味は変わりませんが、その具体的な行動や求められるスキルセットは、根本から見直す必要に迫られているのです。
なぜ今、営業の役割の見直しが重要なのか
なぜ、これほどまでに営業の役割の見直しが叫ばれているのでしょうか。
その背景には、無視できない3つの大きな環境変化があります。
これらの変化を理解することが、時代遅れの営業から脱却し、成果を出し続けるチームを作るための第一歩となります。
顧客は営業に会う前に購入の意思決定をしている
最も大きな変化は、顧客の購買行動です。
インターネットの普及により、顧客は営業担当者に接触する前に、自ら能動的に情報を収集し、比較検討を行うのが当たり前になりました。
特にBtoBの領域ではこの傾向が顕著です。
米国の調査会社CEB(現Gartner)の調査によると、BtoBの顧客は営業担当者に会う前に、購買プロセスの57%をすでに完了しているとされています。
さらにGartnerは、2025年までにBtoBの営業担当者と顧客とのやり取りの80%がデジタルチャネルで行われるようになると予測しています。
つまり、営業が初めて顧客に会うときには、顧客はすでに多くの知識を持ち、購入の意思を固めつつあるのです。
このような状況で、一方的な製品説明やプッシュ型の営業が通用しないのは明らかでしょう。
「モノを売る」から「顧客の課題を解決する」へのシフト
製品やサービスの機能がコモディティ化(同質化)し、価格競争が激化する中で、単に「モノ」を売るだけでは顧客に選ばれなくなりました。
顧客が求めているのは、製品そのものではなく、その製品を通じて得られる「体験」や「課題解決」です。
例えば、高性能な会計ソフトを求めているのではなく、経理業務を効率化し、経営判断を迅速化するという「解決策」を求めているのです。
したがって、現代の営業には、顧客のビジネスを深く理解し、彼ら自身も気づいていない潜在的な課題を掘り起こし、最適な解決策を提示するコンサルティング能力が不可欠となっています。
マーケティングやCSとの連携が不可欠な時代に
かつては一人の営業マンが、見込み顧客の発掘から受注、アフターフォローまでを一気通貫で担当するのが一般的でした。
しかし近年では、「The Model(ザ・モデル)」に代表されるように、マーケティング、インサイドセールス(内勤営業)、フィールドセールス(外勤営業)、カスタマーサクセスが連携して顧客に対応する分業体制が主流になりつつあります。
各部門が専門性を高めることで、組織全体の生産性を向上させるのが狙いです。
この流れの中で、営業(特にフィールドセールス)の役割は、単独で案件をクロージングすることだけではなくなりました。
マーケティング部門から渡されたリードの質をフィードバックしたり、受注後の顧客をスムーズにカスタマーサクセスへ引き継いだりと、部門間のハブとなり、顧客体験をシームレスにつなぐ重要な役割を担うようになっているのです。
現代ビジネスにおける営業の4つの重要な役割
では、変化したビジネス環境において、具体的に営業はどのような役割を担うべきなのでしょうか。
ここでは、現代の営業に求められる4つの重要な役割について解説します。
これらをチームの共通認識とすることで、目指すべき方向性が明確になります。
1. 顧客のビジネスを成功に導く「課題解決パートナー」
最も重要な役割は、顧客の「課題解決パートナー」となることです。
これは、顧客の言われた通りに対応する「御用聞き」とは全く異なります。
顧客の業界動向やビジネスモデルを深く理解し、対話を通じて顧客自身がまだ言語化できていない潜在的な課題やニーズを引き出します。
そして、自社の製品やサービスがどのようにその課題解決に貢献できるのかを、具体的なデータや事例を用いて論理的に提案します。
この役割を果たすことで、営業は単なる「業者」から、なくてはならない「ビジネスパートナー」へと昇華できるのです。
2. LTV(顧客生涯価値)を最大化する「長期的な関係構築者」
サブスクリプションモデルの普及などにより、ビジネスの成功は「いかに多くの顧客を獲得するか」から「いかに顧客に長く利用してもらうか」へとシフトしています。
そこで重要になるのが、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)という考え方です。
現代の営業の役割は、一度売って終わりではありません。
顧客の成功を継続的に支援し、信頼関係を構築することで、アップセル(上位プランへの移行)やクロスセル(関連商品の購入)を促し、LTVを最大化することが求められます。
短期的な売上目標を追うだけでなく、長期的な視点で顧客と向き合う姿勢が不可欠です。
3. マーケティング部門との「スムーズな連携の要」
分業体制において、営業はマーケティング部門と顧客をつなぐ重要な架け橋です。
マーケティング部門が獲得したリード(見込み顧客)に対して、実際に商談を行い、その質や温度感をフィードバックする役割を担います。
「今月のリードは受注確度が高い」「このチャネルからのリードは情報収集段階の顧客が多い」といった現場の生の声を共有することで、マーケティング部門はより効果的な施策を打てるようになります。
この連携を密にすることで、組織全体として商談化率や受注率の向上を目指すことができます。
4. 顧客の声を製品・サービスに反映する「最前線の情報収集者」
営業は、誰よりも顧客に近い場所で、市場のリアルな声に触れることができるポジションです。
「顧客はこんな機能を追加してほしいと望んでいる」「競合他社は最近こんな動きを見せている」といった一次情報は、製品開発部門や経営層にとって非常に価値のあるものです。
これらの現場で得た情報を社内に適切にフィードバックし、製品・サービスの改善や新たなビジネスチャンスの創出につなげることも、現代の営業が担う重要な役割の一つです。
営業活動が、売上創出だけでなく、会社の未来を創ることにも繋がっているのです。
チームの成果を最大化する「営業の役割」定義と浸透の3ステップ
ここまで現代における営業の役割を説明してきましたが、これをただチームに伝えるだけでは、部下は自律的に動けません。
重要なのは、自社の状況に合わせて役割を具体的に定義し、チーム全員が納得感を持って行動に移せるように「浸透」させるプロセスです。
ここでは、明日から実践できる3つのステップを紹介します。
ステップ1. 自社のビジネスモデルと顧客像を再定義する
役割定義の第一歩は、原点に立ち返ることから始まります。
まず、マネージャーであるあなた自身が、そしてチーム全員が、以下の問いに明確に答えられる状態を目指しましょう。
- 私たちは、誰の(ターゲット顧客)
- どのような課題を(提供価値)
- どのように解決するのか(自社の強み)
ワークショップなどを開催し、「私たちの理想の顧客はどんな企業か?」「顧客はなぜ競合ではなく、私たちを選ぶのか?」といったテーマでディスカッションするのも有効です。
この共通認識が、これから定義する役割の土台となります。
ステップ2. チームと個人の具体的な役割とKPIを設定する
次に、ステップ1で定めた共通認識に基づき、各部門や個人の具体的な役割と、その達成度を測るためのKPI(重要業績評価指標)を設定します。
例えば、The Model型の組織であれば、以下のように役割を分担できます。
- インサイドセールス:マーケティングが獲得したリードにアプローチし、質の高い商談機会を創出する。KPIは「有効商談化数」「フィールドセールスへの送客数」。
- フィールドセールス:創出された商談機会を引き継ぎ、顧客の課題解決を提案し、受注に繋げる。KPIは「受注率」「受注金額」。
- カスタマーサクセス:受注後の顧客の成功を支援し、契約更新やアップセルを実現する。KPIは「契約更新率(リテンションレート)」「アップセル金額」。
重要なのは、それぞれの役割がどのように全体の目標達成に貢献するのかを明確に示し、行動を促すKPIを設定することです。
役割を定義しても、それを評価するKPIがずれていると、メンバーは混乱してしまいます。KPI設定でよくある失敗を防ぐために、以下の2点を意識しましょう。
1. 結果指標だけでなく「行動指標」も設定する
「受注額」のような結果指標(KGI)だけでは、日々の行動に結びつきにくい場合があります。そこで、「新規訪問数」「提案件数」「有効商談化率」といった、結果に至るまでのプロセス(行動指標)もKPIに設定することが重要です。これにより、メンバーは日々の目標が明確になり、モチベーションを維持しやすくなります。
2. 個人の目標とチームの目標を連動させる
個人のKPI達成だけを追い求めると、部門間の連携が疎かになる「セクショナリズム」に陥りがちです。個人のKPIに加え、チームや部門全体の目標達成度も評価に組み込むことで、「チームで勝つ」という意識を醸成することができます。
ステップ3. 納得感のある説明と定期的なフィードバックを行う
役割とKPIを定義したら、それをチームに浸透させるフェーズに入ります。
ここで最も重要なのは、一方的に押し付けるのではなく、対話を通じて納得感を醸成することです。
チームミーティングの場で、「なぜ今、役割を見直す必要があるのか(背景)」「この役割分担によって、チームや顧客、そして皆さん自身にどんなメリットがあるのか(目的)」を丁寧に説明しましょう。
そして、一度伝えて終わりにするのではなく、1on1ミーティングなどの場で定期的に進捗を確認し、フィードバックを行うことが不可欠です。
「新しい役割で困っていることはないか?」「KPIの目標は現実的か?」といった対話を重ね、必要であれば柔軟に軌道修正することで、役割定義は初めて血の通ったものになるのです。
営業の役割定義でよくある失敗と対策
意欲的に営業の役割改革に取り組んでも、残念ながらうまくいかないケースもあります。
ここでは、よくある失敗パターンとその対策を知り、同じ轍を踏まないように備えましょう。
失敗例1:経営層の理想の押し付け
現場の実情を無視し、経営層や管理職が理想論だけで役割を定義してしまうケースです。現場のメンバーは「どうせ無理だ」と白けてしまい、形骸化してしまいます。
対策:役割定義のプロセスに、必ず現場のトップセールスや若手メンバーを巻き込みましょう。現場の意見を吸い上げることで、より現実的で納得感の高い役割定義が可能になります。
失敗例2:部門間の対立
役割分担を明確にした結果、「これはインサイドセールスの仕事だ」「フィールドセールスの質が悪い」といった責任の押し付け合いが発生し、部門間の溝が深まるケースです。
対策:各部門のKPIだけでなく、組織全体の売上目標など、共通のゴール(KGI)を設定しましょう。そして、部門間の連携を評価する仕組み(例:リードの質を評価し合う制度)を導入することも有効です。
失敗例3:評価制度のミスマッチ
「これからはLTVが重要だ」と新しい役割を掲げながら、評価制度は従来の「新規契約の売上金額」のみ、というケースです。これでは、メンバーは目先の売上を追う行動を変えられません。
対策:新しい役割に連動した評価制度を設計することが不可欠です。「契約更新率」や「顧客満足度アンケートの結果」など、新しい役割における貢献度を可視化し、適切に評価する仕組みを整えましょう。
まとめ:営業の役割を再定義し、変化に強いチームを作る
本記事では、現代ビジネスにおける営業の役割から、それをチームに浸透させるための具体的なステップ、そしてよくある失敗例までを解説しました。
もはや営業の役割は、単なる「モノ売り」ではありません。
顧客のビジネスを成功に導く「課題解決パートナー」であり、マーケティングやカスタマーサクセスと連携してLTVを最大化する、企業の成長に不可欠な存在です。
重要なのは、この役割を自社のビジネスに合わせて再定義し、チーム全員が納得して動ける仕組みを構築することです。
営業の役割定義は、一度行えば終わりというものではありません。
市場や顧客の変化に合わせて、常に見直し、アップデートしていく必要があります。
まずは、あなたのチームの現状を分析し、「私たちの役割とは何か」をメンバーと対話することから始めてみてはいかがでしょうか。
その一歩が、変化に強く、自律的に成果を出し続けるチームを作るための確かな土台となるはずです。


